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KEN NAKAHASHIでは2017年6月2日(金)より6月30日(金)まで、1年半ぶり2度目となる海老原靖の個展「tarot(タロット)」を開催いたします。

海老原靖は、1976年茨城県生まれ。2001年に東京芸術大学大学院修士課程修了。現在は東京を拠点に活動しています。

子供の頃より銀幕の世界に夢中だったという海老原靖は、映画そのものや華やかな芸能界に生きるハリウッド子役、女優、煌びやかな衣装などのモチーフを、多様なスタイルや技法で作品に取り組んできました。

絡み合う髪の毛を描いた「LUST」シリーズ、華やかなドレスを描いた「dress」シリーズ、映画のワンシーンを切り取った「NOISE」シリーズ、90年代に爆発的人気を得たマコーレー・カルキンをモチーフに描く「マコーレー・カルキン」シリーズなど、ペインティングを始め、立体、写真、パフォーマンスなど様々な形で制作しています。 その中でも、「マコーレー・カルキン」シリーズと称される一連の作品では、子役として一世を風靡し、その後ドラッグ騒動など度重なるトラブルで芸能界を引退し、波乱万丈な人生を歩んできたマコーレー・カルキンを、消えゆく美の象徴として、また刹那的な理想の瞬間への熱望を体現する存在として描いてきました。

フィルムに刻まれた永遠の少年時代とスクリーンを離れ年老いていく事実、幻想を抱き続ける事による喪失感、どうしようもなく取り憑かれた妄執ーー大きく見開かれたままの目、大きな頭、細長い手首のほっそりした身体は、得体の知れないものへの潜在的な恐れを、鬱々と自分の内部に向けているようです。冷たく寂寛とした白昼夢のような世界に、デフォルメされた人物や玩具や人形などのモチーフが、刹那と狂気の間の消えゆく美として表出しています。

「マコーレー・カルキン」シリーズには、15世紀から伝わる宗教絵画で用いられているグレース技法が用いられています。薄い絵具の層を細く柔らかい筆で何層にも重ねて、透明感と色調の深み、きめ細かな質感を生み出す精巧な制作の過程は、ショービス界で消費され使い捨てされていく人々へ向けられた海老原の祈りのようです。

この度、発表する新作は、「マコーレー・カルキン」シリーズの集大成ーータロットカードの「愚者」から「世界」までを描いた22枚の連作です。様々なポーズで人形のように佇むマコーレ・カルキンが、海老原が収集した使い捨ての玩具などと共に、一枚一枚のタロットの寓意やシンボルとして登場します。

構想から約10年、制作に1年近く費やしたこの新作群について海老原は、「この世界のどこかで何かが起こっているが、大概のことは知らない。限定的な狭い範囲の情報をもとに生きている。絵を描く上で考えることは、自分が知っていることなんて些細なことということ。一つのイメージに縛られない、イメージが増殖していくような、悲劇と喜劇が隣あわせにいるような絵が作れたら」と語りました。


新境地に立つ海老原が創り出した、放浪者の新たな世界を是非ご高覧下さい。

展覧会詳細

名称:「tarot」
会期: 2017年6月2日(金) - 6月30日(金)
時間: 13:00 - 21:00
休廊: 日・月
会場: KEN NAKAHASHI (160-0022 東京都新宿区新宿3-1-32 新宿ビル2号館5階)
問い合わせ: info@kennakahashi.net 03-4405-9552

News & Updates

  1. 2017/05/12
    Thumbnail ebi tarot

    ステファン・サラザン氏のキュレーションとレクチャーによるビデオ・アート・シリーズの第4回目、「N’SYNCH 第4幕: Party Monster」を開催します。

    日時: 2017年7月1日(土)16:30 - 17:30 / 18:00 - 19:00 二回入れ替え制

    映画、メディアアートの専門家として、東京とパリをベースに大学教授、キュレーター、批評家として活動するステファン・サラザン氏のキュレーションによるKEN NAKAHASHIでのビデオ・メディアアート・シリーズ「N’SYNCH」。海老原靖の個展を締めくくるべく、海老原のテーマと深い関連性にある映像を取り扱った上映会とディスカッションを行います。

  2. 2017/04/03
    Thumbnail nsynch 3

    映像作品: スタン・ブラッケージ、ドミニク・ベロア、ピーター・グリーナウェイ、パスカル・リエヴ
    大垣美穂子: 「Threshold」

    KEN NAKAHASHIとステファン・セラザンの共同キュレーションで送る、ビデオ・メディアアートシリーズ。

  3. 2017/03/02

    2017年2月24日夜、任航(レン・ハン)の訃報が届きました。

    ここに謹んでご報告申し上げますとともに、心から哀悼の意を表します。

    また、ご家族、ご友人の皆様方に、心よりお悔やみを申し上げます。

  4. 2017/03/01
    Thumbnail sabrina news

    毎日新聞社主催の若手具象絵画を対象とする「第9回絹谷幸二賞」において、東京芸術大学美術研究科油画専攻論文博士で、2014年11月と2016年3月にKEN NAKAHASHI(旧matchbaco)にて個展を開催したサブリナ・ホーラクが奨励賞を受賞しました。

    2016年3月にKEN NAKAHASHIにて開催した展覧会「One perfect moment」や、東京芸術大学・博士審査展での作品群が評価されての受賞となりました。

  5. 2017/02/17
    Thumbnail erik cover

    作家:エリック・スワーズ、トビアス・ヤコブ、クリスティアン・ヘルツィヒ
    会期:2017年2月23日 - 3月18日
    オープニング:2017年2月23日(木)夜8時~
    ギャラリー・クラインディーンスト (シュピネライ、ライプツィヒ)