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KEN NAKAHASHIでは、2019年3月29日(金)から4月27日(土)まで海老原靖による個展「Sing」を開催いたします。


本展「Sing」では、海老原靖が長年制作してきたNOISEシリーズに焦点をあて、16点の「Sing」(#1~#16)の他、過去に制作した絵の表面を覆い被せるようにカサブランカを描いた「Metamorphose」(変容、転生の意。)などの新作を発表します。


海老原靖によるステートメント


古い一本のビデオテープがあった。テープに録画されている映画をみるとテープは摩耗しているようで、走査線が乱れ画面がざらついていた。走査線は色となって暴力的に画面を支配している。

ある映画のワンシーン、ノイズの向こう側にうつる女性は何をみつめ、何を思考しているのだろうか?

映像という時間から切り取られたそれらの顔は、ただそこにある。断片の連続の間を往復しながら、描かれなかった顔、あるべき背景があるはず。

それは、人生そのものを象徴していて、今この瞬間にも記憶に隙間が生じ、ノイズに描かれた静寂の一瞬がある。

映画をモチーフにすると、この瞬間という一瞬の静寂とノイズの関係が見えてくる。そして、見終わったら手元には何も残らない。映画を見ている最中に感じたことだけ、見た人それぞれが違ったものを持ち帰る。そして、細部は時間とともに消えていく。

人間が生きている瞬間瞬間は、自らの記憶と時間に大きく関係している。その瞬間の光り、人生そのものが広大な時間の中の一瞬の輝きである。

人間がひたすら消費し、消え去っていく時間に生じるノイズの一瞬は、無限の時空への扉を開くことになる。



海老原靖

1976年茨城県生まれ。2001年東京芸術大学大学院修士課程修了。

絡み合う髪の毛を描いたLUSTシリーズ、華やかなドレスを描いたDRESSシリーズ、映画のワンシーンを切り取ったNOISEシリーズ、90年代に爆発的人気を得た子役の象徴的存在を描いたMACAULAY CULKINシリーズなど、消費され消えゆくものをモチーフに、繊細な筆のタッチで何層にも重ねられた油絵の他、立体、写真、パフォーマンスなど様々なメディアで作品を発表しています。


展覧会概要

  • 名称:海老原靖「Sing」
  • 会期:2019年3月29日(金)- 4月27日(土)
  • 会場:KEN NAKAHASHI (160-0022 東京都新宿区新宿3-1-32 新宿ビル2号館5階)
  • 開廊時間:11:00 - 21:00
  • 休廊:日・月
  • オープニング:3月29日(金)18:00-