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この度、matchbacoでは10月7日(金)より29日(土)まで松下まり子による個展「イド」を開催します。

松下まり子は「人間」に焦点をあて絵を描きます。

特に人間の「性」と「死」に興味を注ぐ彼女は、古い写真や絵画からインスピレーションを得、彼女自身や身近な知人等をモデルに、男性・女性、子供・大人どちらでもありえるもの−−彼女自身と他者とを繋ぐ、集団的無意識の中に存在するものを描き出します。

肉や血の塊を彷彿とさせる赤、紫、黄緑といった独自の色彩感覚。躍動的で、時に繊細な触覚に溢れた筆のタッチ。彼女の描く作品は、闇の中に溶けていたものが浮び出て形を取り戻し、息づいている魂のようです。

松下まり子は、2004年に京都市立芸術大学油絵専攻を卒業。子供時代の特異な経験により、長い間ディスコミニケーションに陥り、自分の気持ちを話せず、絵も思うように描く事が出来なかったといいます。その後、上京し、制作を続けるうちに、内的な世界に耽溺するのではなく、己の痛みを超越して他者へと腕を伸ばし始め、2015年10月、matchbacoでの初個展「MARIKO」にて、友人知人を描いたportraitシリーズを中心とする作品を発表しました。

最近では、現代芸術振興財団が主催する第2回CAFAA賞を受賞するなど、より一層の注目を集めています。

1年ぶり2度目の個展となる本展「IDO」のタイトルは、「体の奥底の井戸のイメージ、性衝動のイド、源我のイド」を意味しています。

セックスや女性器のイメージ、エロティックな感覚、女性が持つ破裂するような力と聖性、小さな死“タナトス”、そしてアーティストとしての彼女自身などを描いた作品を発表します。

本展開催にあたり松下まり子は次のように語ります。

「私はただ真っ暗闇で燃えている松明のようになりたい。肌を焼き、髪を燃やす綺麗な火のようになりたい。世界はどろどろで暗く私は根が生えたように拘束されていたが、光がそれらを鏡のように照らした。私は懸命に呼吸していたい。」

また、本展は、2014年3月に開廊した当ギャラリーがmatchbacoという名称で開催する最後の展覧会となります。2016年11月よりKEN NAKAHASHI(ケン ナカハシ)に変更予定です。