Exhibitions
Family Regained
森栄喜
2017/09/08 until 2017/09/30
KEN NAKAHASHIでは2017年9月8日(金)より30日(土)まで、森栄喜による当ギャラリーでの初となる個展『Family Regained』を開催いたします。
本展では、2017年秋にナナロク社より新たに刊行される写真集『Family Regained』から厳選した作品を展示いたします。
タイトル は、ジョン・ミルトン著『Paradise Regained(復楽園)』(1671年)から着想を得たものです。社会制度における重要な鍵の一つである家族というテーマに即し、友人、恋人同士、夫婦などを、被写体の暮らす住居や庭先でセルフタイマーを用いて、森自身も登場しながら撮影されています。
全て真っ赤なこれらの写真群は、血の赤という普遍的な色のフィルターを通して、周りの社会に溶け込まず、舞台の一部を切り出したかのような風景を鑑賞者に示します。
森自身が親しくしている身近な共同体=「社会形態の小さな一つの縮図」を、多様な家族形態やセクシャリティーの実例として、自身の写真に取り込み、関わりを派生させようとしているのです。それはつまり、対象である家族を観察し、社会学的領域でのパフォーマンスを写真に昇華することで、可視/認知化されたビジュアルを広めていこうとする社会的・政治的な運動、訴えでもあります。
同時代の幾つもの家族と森の写真という媒介が共振し、今日の家族像が立ち上がってきます。
今回の新作について森は、「もう一度生まれ、出会い、恋をし、寄り添いともに生きていく。恋人たちが夢想し思い描いたであろう幸せで愛おしさがあふれる光景へ。未来の家族に、彼らに成り代わり会いにいっているような感覚だ」と語ります。
森が様々な舞台(=彼らとの生活空間)に立ち、演じ合い創り上げたこれらの作品から、被写体の家族が持っている決して入り込むことができず守られているような連帯感、団結感、阿吽のリズムが、優しく襲いかかってくるようです。
新たな展開を予期させる森の新作を、ぜひご覧ください。
森栄喜は、1976年石川県金沢市生まれ。パーソンズ美術大学写真学科卒業。現在は、東京を拠点に活動しています。
2009年、闇に輝く東京の少年達のポートレートを小説家の小林小路の文章と共に綴ったコラボレーションブック『CROWS AND PEARLS』をEdition Nordより発行。
2011年、台湾の出版社レボリューション・スター・パブリッシングより初の写真集『tokyo boy alone』を刊行し、アジア各国で大きな話題となりました。
2013年には、森がパートナーと出会ってからの一年間を264ページにわたり記憶した写真集『intimacy』(ナナロク社)で第39回木村伊兵衛賞を受賞しました。
森はまた、活動家でもあります。ウェディングコスチュームに見立てた白い服を着た森と当時のパートナーを、通りすがりの人々に二人の記念撮影をしてもらうという同性婚をテーマにしたパフォーマンスとその記録映像作品『Wedding Politics』は、同性婚を視覚的媒体で訴える政治的活動であり、見知らぬ人たちとの関係性を生み出し社会に関わっていこうとする挑戦でもありました。
現在は、日本やカナダ、アメリカの雑誌グラビア等でも活躍の場が広がり、国内外・多方面から一層注目が高まっています。
展覧会概要
- 名称:森栄喜『Family Regained』
- 会期:2017年9月8日(金)- 30日(土)
- 会場:KEN NAKAHASHI (160-0022 東京都新宿区新宿3-1-32 新宿ビル2号館5階)
- 開廊時間:13:00 - 21:00
- 休廊:日・月
- オープニング:9月8日(金)18:00-
- アーティストトーク:9月13日(水)19:00-20:00
*本展の開催と同時期に、以下の二会場でパフォーマンスと記録映像作品が公開されます。
NADiff
日程:2017年10月1日(日)- 10月29日(日)
作品タイトル:『Family Regained: The Splash -We brush our teeth, take a shower, put on pajamas and go out into the street-』
パフォーマンス(演出・出演 森栄喜)
フェスティバル/トーキョー 17 (F/T 17)
日程:2017年9月30日(土)- 11月12日(日)
作品タイトル:『Family Regained: The Picnic』
11月4日~12日 池袋西口公園(野外上映)
パフォーマンス(演出・出演 森栄喜)