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KEN NAKAHASHIでは、2024年10月26日(土)から11月21日(木)まで、原田裕規の個展「残照」を開催いたします。


当ギャラリーでは2年半ぶり3度目の個展となる本展では、原田にとって初めての取り組みとなる平面作品のシリーズ「ドリームスケープ」が発表されます。


同シリーズは、2020年頃より世界的に流行しているデジタル風景表現の潮流「ドリームスケープ」に着想を得たもの。非現実的な静寂感、安心感、無菌室感などに象徴されるドリームスケープの表現を、原田は「現代の世界情勢や地球環境を反映した風景画」であるとしています。

こうした視点に立ってつくられた原田のドリームスケープ・シリーズより、本展では2023年に映像バージョンが発表された《ホーム・ポート》と、本展のためにつくられた新作の《残照》が発表されます。


《ホーム・ポート》は、2023年8月に大火に襲われたハワイ・マウイ島のラハイナが描かれたデジタル・ランドスケープ作品。2019年以降、リサーチのためにラハイナを訪れていた原田は、大火によって焼失したラハイナの遠い未来/過去をイメージしながら本作を制作しました。


それに対して新作の《残照》は、原田がかつて暮らしていた山口県岩国市の山々が描かれたデジタル・ランドスケープ作品。敗戦から間もない1947年、肉親を亡くして失意の中にあった日本画家・東山魁夷が描いた作品《残照》がモデルとなっています。また岩国出身の原田にとって、同地を描くことには特別な意味があり、本作はそれがようやく実現した念願の作品であるともいえます。


世界全体の緊迫度が増す中、まるで世相を鏡写しにしたかのように反映する原田のドリームスケープ作品を通じて、作家の世界に対する向き合い方をぜひご覧ください。




原田裕規

1989年山口県生まれ。アーティスト。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程先端芸術表現専攻修了。

とるにたらない視覚文化をモチーフに、テクノロジーやパフォーマンスを用いて、社会や個人の本性(ほんせい)を「風景」や「自画像」のかたちで表現しています。

主な個展に「公開制作 vol.4 原田裕規 ドリームスケープ」(長野県立美術館、2024年)、「やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間のようでごいす」(日本ハワイ移民資料館、2023年)、「アペルト14 原田裕規 Waiting for」(金沢21世紀美術館、2021年)など。単著に『評伝クリスチャン・ラッセン』(中央公論新社、2023年)、『とるにたらない美術』(ケンエレブックス、2023年)、編著に『ラッセンとは何だったのか?』(フィルムアート社、2013年、増補改訂版=2024年)。2023年にTERRADA ART AWARD 2023でフィナリストに選出、神谷幸江賞を受賞。


11月30日(土)からは、広島市現代美術館で過去最大規模の個展「原田裕規:ホーム・ポート」が開幕予定です。




【展示概要】

原田裕規「残照」

2024年10月26日(土)— 11月21日(木)

開廊日時: 火—土 13:00-20:00

休廊: 日・月

オープニング: 10月26日(土)18:00-20:00

「アートウィーク東京」開催中の開廊日時: 11月5日(火)—11月10日(日)10:00-20:00

残照
© Yuki Harada "Home Port," 2024. Inkjet print.