Exhibitions
Love Dream
川井雄仁 , 水戸部七絵
2024/06/14 until 2024/07/13
水戸部七絵、川井雄仁「Love Dream」
- 2024年6月14日(金)-7月13日(土)
- 開廊日時: 火-土、13:00-20:00
- 休廊: 日・月
- オープニング: 6月14日(金)、18:00-20:00
KEN NAKAHASHIでは2024年6月14日(金)から7月13日(土)まで、当ギャラリーでは初めてとなる水戸部七絵と川井雄仁による二人展「Love Dream」を開催いたします。
異なる要素をつなぎ、複雑な視覚体験を生み出す色と形の関係性。
コップの水が常に満たされ溢れるように、作品個体の境界線を押し出していくような躍動感。
ともに大量の顔料を使用し形作られる水戸部と川井の作品は、変化の只中にありながら平衡状態を保ち、それゆえに新たな可能性を拓く。
本展では、それぞれの新作を中心に発表します。
自然光豊かな小さな空間で共振する水戸部と川井の作品を是非ご高覧ください。
水戸部七絵
神奈川県生まれ。子供の頃から絵画を描き続けてきた水戸部は、現在ウィーンと日本を拠点に活動。
2011年名古屋造形大学卒業、画家の長谷川繁に師事する。2022年からオーストリアのウィーン美術アカデミーに交換留学、アラステア・マキンブン(Alastair Mackinven)に師事する。2024年東京藝術大学大学院卒業、画家の小林正人に師事する。
以前から描く対象として象徴的な人物の存在を描いたが、2014年のアメリカでの滞在制作をきっかけに、極めて抽象性の高い匿名の顔を描いた「DEPTH」シリーズを制作し、2016年愛知県美術館での個展にて発表。
一斗缶に入った油絵具を豪快に手で掴み、キャンバスに練り込むように厚く層を重ねていく技法をはじめ、薄く滑らかに描かれる言葉や風景、ロック・ミュージックや著名人をテーマにした作品、現代社会における事象の有様を示唆する作品など、記憶に残り魅了し続ける力に満ちた水戸部の作品は、現代における絵画が秘める可能性へと鑑賞者の意識を導いています。
2021年「VOCA展2021」で鎮西芳美氏(東京都現代美術館)に推薦され、VOCA奨励賞を受賞。
主な個展に、「project N 85 水戸部七絵|I am not an Object」(2022年、東京オペラシティアートギャラリー)、「Rock is Dead」(2021年、biscuit gallery、東京)、「APMoA, ARCH vol.18 DEPTH―Dynamite Pigment」(2016年、愛知県美術館)など。
代表的な作品に、匿名の顔を描いた「DEPTH」シリーズ、ロックスターを描いた「Rock Is Dead」シリーズ、TIME誌の表紙グラビアを引用した「TIME」シリーズなどがある。
2020年愛知県美術館に《I am a yellow》(2019年)が収蔵される。また、高橋龍太郎コレクション、OKETA COLLECTION、前澤友作コレクションなどのプライベートコレクションにも収蔵されています。
川井雄仁
茨城県生まれ。現在は、茨城県笠間市を拠点に活動しています。
2007年ロンドン芸術大学チェルシーカレッジオブアート・ファインアート科を卒業。
2018年茨城県立笠間陶芸大学校研究科を卒業。
ロンドンで現代美術を学んだ後に帰国し、一度は美術の世界から離れ東京で働くものの、陶芸大学校の前身である茨城県工業技術センター窯業指導所で陶芸に触れたことを機に、再び美術の道に転じる。力強く生き生きと躍動する形と色で、独自の陶芸作品を数多く制作している。川井の作品は、まず最初に粘土の中に沢山の顔料を混ぜ合わせ形成をした後に、通常の本焼きにおける窯温度と比較し、やや低温度で焼成される。その独特の技法により、しっとりとした柔らかい色の塊のような質感を生み出す。土の物質性や色との関係性に触発され、また自身の内面や経験が作用しあうことで重層的な作品となっている。
主な個展に、「粒の数だけ 抱きしめて」(2022年、KOTARO NUKAGA、東京)、「Riding for a fall」(2021年、Sokyo Lisbon、リスボン)、「The Kitsch」(2019年、t.gallery、東京)、「Naughty Loneliness」(2018年、SOZO Salon、東京)、「Freaks」(2017年、笠間の家、茨城)など。
作品は、Loeweコレクション、高橋龍太郎コレクション、OKETA COLLECTIONに収蔵されている。
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根源的寛容と先行的恩寵と—Love Dream 水戸部七絵・川井雄仁
梅津元
水戸部七絵と川井雄仁による二人展「Love Dream」を、キュレーター/批評家の梅津元氏が批評しました。
本批評文は3章構成、約25,000字に及ぶ大変充実した内容です。
以下の日程で、全3回の連載として無料公開いたします。
- 第1章:12月6日(金) PDF版ダウンロード 作品リストダウンロード
- 第2章:12月13日(金)
- 第3章:12月26日(木)(聖ステファノの日)
※テキストにも登場する「聖ステファノ」にちなむ公開日です。
以下、梅津元氏のプロフィールをご紹介いたします。
梅津元
キュレーター/批評家。1966年生まれ。1991年多摩美術大学大学院美術研究科修了。モダニズム以降の芸術の可能性を探るため、美術、写真、映像、音楽に関わる執筆や企画を中心に領域横断的な活動を展開。
主な企画:「DE/construct: Updating Modernism-阿木譲をめぐる3つのプログラム」NADiff modern & SuperDeluxe(2014年)、「トランス/リアル-非実体的美術の可能性」ギャラリーαM(2016-17年)、「DUB/stance 樋口朋之」The White(2024年)。埼玉県立近代美術館学芸員(1991-2021年)としての主な企画(共同企画を含む):「〈うつすこと〉と〈見ること〉-意識拡大装置-」(1994年)、「1970年-物質と知覚 もの派と根源を問う作家たち」(1995年)、「ドナルド・ジャッド 1960-1991」(1999年)、「プラスチックの時代|美術とデザイン」(2000年)、「生誕100年記念 瑛九展」 (2011年)、「DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術」(2019年)など。