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那須佐和子「敗走者のためのブギウギ」

  • 2026年11月4日(水)— 2027年1月23日(土)
  • 開廊日時:火—土、11:00-18:00
  • 休廊:日・月・祝
  • 冬季休暇:2026年12月27日(日)—2027年1月4日(月)
  • オープニング:11月4日(水)17:00-19:00
  • アートウィーク東京(AWT):2026年11月4日(水)— 2026年11月8日(日) 
  • AWT期間中は10:00オープン、11月8日(日)も開廊します


KEN NAKAHASHIでは、2026年11月4日(水)から2027年1月23日(土) まで、那須佐和子による当ギャラリーでは2度目となる個展「敗走者のためのブギウギ」を開催いたします。


那須は、長年収集してきた古いキャンバスを支持体として用います。輸送や保管の過程で生じた傷、汚れ、かつての所有者の痕跡。それらを抱えたキャンバスは、イメージが電子的に消費される現代において、物理的な時間を生き続けるひとつの「身体」として存在しています。


前回の個展「ライナスの布」(2025年)では、会期中に作品を入れ替え、壁に残された釘穴やキャプションによって、かつての記憶と未来の予兆を共存させました。2026年10月には多摩美術大学の家村ゼミ展において、自然光だけの空間に絵画を置きながら、絵画と空間・光・時間のあいだの関係性を探りました。


本展では、会期中の作品の入れ替えと自然光を生かした構成を継続しつつ、上下左右の固定観念から解き放たれた空間の組み立てによって、一つの場所や形に定着しない、自由で浮遊感のある絵画のあり方を提示します。


本展のひとつの鍵となるのは、ピエト・モンドリアンの未完の遺作《ヴィクトリー・ブギウギ》(1942-1944年)です。厳格な構成に基づきながらも、なお迷いが残されているこの作品に、那須は強く惹かれています。未完のままに残された「生の痕跡」にこそ、那須は絵画の切実さを見出しているのです。そうした視点は、那須自身の絵画のあり方にも通じています。那須の描画プロセスは、ガーゼのような薄い層を幾重にも重ね、描いては拭き取るという、埃を掃くような行為の反復です。画面を分割するのではなく、重なりの中から輪郭が生まれるその手法は、完成へと閉じられることを拒み、常に揺らぎの中に開かれています。


タイトルにある「敗走」とは、勝敗における敗北ではなく、整然と進歩や完成へ向かって行進する絵画のあり方にあえて背を向け、迷いながら退くように進むひとつの「態度」を指しています。効率や合理性から遠ざかり、答えを定めないまま、描き続けること。そうした態度には、直線的な時間軸とは異なる、那須独自の切実なリズムが流れています。


絵画という古びたメディウムへの夢を抱きつつ、「敗走」という名のゆったりとした時間の流れの中に描き出す最新作を、ぜひご高覧ください。 




那須佐和子

1996年東京都生まれ。2023年、東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻(小林正人研究室) を修了。幼少期を演劇一家の中で過ごし、舞台美術や演出に関わる中で、独自の空間表現を 培いました。薄く層を重ねて描く油彩を用いた風景画や人物画を中心に制作しており、現代に 生きる自分と過去の芸術との埋めがたい距離をテーマに、今日の絵画表現の可能性を模索し ています。主な個展に、「Vestige」(NISO、ロンドン、2024年)、「ライナスの布」(KEN NAKAHASHI、東京、2025年)、家村ゼミ展2026「空間に、自然光だけで、那須佐和子の絵 を置く」(多摩美術大学 八王子キャンパス アートテークギャラリー、東京、2026年)など。 2026年、作品《Green Field》(2024年)が東京都現代美術館に収蔵。