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KEN NAKAHASHIでは、2023年3月21日(火)より5月27日(土)まで、松下真理子の個展「すべて水に映る」を開催する。


松下は、「人間とは何か」を執拗に追い求め、死や痛みや絶望が忘れられていく社会に向かって、静かに抵抗している。


本展では、会期を分けて、近年制作した大型のペインティングや、手製キャンバスのシリーズ「すべて水に映る」を紹介する。

緊張感と直感が宿るこれらのペンティングは、われわれ人間の声のこだまを鑑賞者の心の中に響かせる。

複雑で強烈なイメージは、私たちの痛ましい過去、虚弱で消えゆく声の投影、明るさと優しさを装った色彩面で浮遊するパワーそのものである。


個々の自我と人類全体の両方を観察することは、まず鑑賞者を戸惑わせ、過去と現在の痛みとの対峙を強いる。

この痛みを解放される瞬間まで探求し続けるのである。

やがて痛みは受け入れられ、人間の声がようやく届くのだ。


松下真理子

1980年、大阪府吹田に生まれる。

幼少期、最初の表現は、性的暴力からの治癒と理解のために書きはじめた無数の詩だった。

精神的な模索と”外付けの蛇口”を求め、芸術を志す。

2004年、京都市立芸術大学美術学部油画専攻を卒業。

工場での労働の傍ら独自の絵画表現を再開し、2016年、《Margarita 7》をはじめとする作品群で第二回CAFFA賞(CAF・アーティスト・アワード)グランプリを受賞する。

翌年、ロンドンにてデルフィナ財団のレジデンスに滞在し、インド、ペルー、韓国、サウジアラビアなどの女性芸術家たちとの親交を結ぶ。

のちにアウシュヴィッツ、フィリピンの「赤い家」などを訪れ、絵画を制作する。

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチに影響を受けた「愛の飾らぬことばにおいて」(2020年)、J.M.クッツェーの著書から名付けた《Friday》を含む「人間の声」(2021年)を発表し、重要な転換期を迎える。

2022年には、自らが発案・企画した、アマポーラ・プラダ(ペルー、リマ在住)との二人展「生命」を開催。


 [主な個展]

  • 2021年「人間の声」現代芸術振興財団、東京
  • 2020年「愛の飾らぬことばにおいて」GINZA ATRIUM 銀座蔦屋書店、東京
  • 2020年「居住不可能として追放された土地」KEN NAKAHASHI、東京
  • 2018年「Silent Resistance to Oblivion」KEN NAKAHASHI、東京
  • 2016年「イド」matchbaco、東京

【展覧会概要】

  • 展覧会名: 「すべて水に映る」
  • 会期: 前半 2023年3月21日(火)-4月22日(土)/後半 4月25日(火)-5月27日(土)
  • アーティスト: 松下真理子
  • 開廊日時: 火-土、11:00-18:00
  • 休廊: 日・月



すべて水に映る
すべて水に映る
後期展示風景 Installation view of the latter period
すべて水に映る
すべて水に映る
すべて水に映る
前期展示風景(撮影: 齋藤裕也)Installation View of the early period (Photo by Yuya Saito)