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この度、matchbacoでは2016年3月4日(金)より31日(木)まで、サブリナ・ホーラク(Sabrina Horak)による個展「One perfect moment」を開催することとなりました。

日本とオーストリアの狭間で生まれ育ったサブリナ・ホーラクは、都市社会が創り出した人工楽園「ユートピア」とそこに存在する人々との関係性を題材に、シンメトリックで曼荼羅のような半立体的絵画を制作しています。 人物の腕や脚などが解体されたパーツを組み合わせて新たにイメージした形状を板から糸のこぎりで丹念に切り抜き、発光するような色彩で人々を描き出した作品は、まるで浮遊する臓器を連想させます。

ホーラク独自のシームレスな視覚言語により、我々が最も近い所に持っている内臓と、人間が遥か昔から描いてきたユートピアとデストピアが表裏一体となって結びつき、洋の東西を問わずして現代社会に生きる人々の想いや人間の生の感覚を与えて来ます。

2014年11月以来、1年ぶり2度目のサブリナ・ホーラクによる本展「One perfect moment」では立体的構造と陰影が色濃く帯びてきた新作シリーズを発表します。

サブリナ・ホーラクの作品について

日本人とオーストリア人のハーフとしてオーストリアで生まれ育ってきましたので、日本に対して、少し変わった見方をしているかもしれません。日本の親戚が、よく日本の食料品や雑誌を送ってくれました。その送ってくれたものが私にとって特別でした。そして、子供の時から何度も訪日していますが 、当時は日本語が出来ず 、日本を観光客の目からしか見ていませんでしたし 、常に短期滞在だったので 、日本の良いところ、楽しいことしか経験しませんでした。私にとっての日本は、素晴らしい秘密をたくさんもっている謎の国だったのです。

ですので、私は日本に対してユートピアのイメージを持っていました。そのイメージは日本の真の姿ではないと分かっていますが、そういうユートピアはどこかに存在しています。自分の頭や思い出の中だけでも。

そんな日本に対しての見方は珍しいかもしれません。二つの文化の間に生まれていない人たちは、理解できないかもしれません。でもユートピアのような所への憧れを持っている人は沢山いるはずです。そんな体験や印象を活かしながら、私と日本の関係をもっと深く分析したいと思っています。そして、そこから得たものをもっと分かりやすく作品に表現したいです。

2013年には、シンメトリックな構成のある新しいシリーズを作り始めました。日光浴をしている人を描いていますが、 絵は中心で分かれており、右側は左側にそのまま映っています。その方法で、より一体感を強調したいのです。コンポジッションによって、人物の身体各部は視線を導いています。コンポジッションがシンメトリックでなければ、視線は絵から出て行く可能性があります。でもシンメトリックだったら、視線は必ず絵の中に残ります。ヨーロッパと日本の文化、社会、言葉、感覚はかなり違います。その間から生まれた人間によって作られたということのすぐ分かるような作品、私の作りたいのはそうした作品です。

なぜ、夏を作品の場面として選んだのでしょうか。

ウイーンの冬は東京の冬と違って、曇り空が多く、暗くてかなり寒いです。私はその季節が苦手で、そのために太陽の光にあふれた夏が理想なのです。夏は期間限定です。私達人間は温度や天気をコントロールできませんので、本当に限られている期間なのです。

私の興味の対象は、自然のビーチではなくて、人工的なリゾートセンターやプールに限りません 。なぜかというと、そういう場所は人間が想像した、ユートピアやパラダイスというべき理想的な場所だからです。私が日常生活を忘れるために、自分の日本に対しての思い出に入り込むのと同じように、人々は、日常生活を忘れるために、プールやリゾートセンターのようなパラレルワールドに入り込み、楽しい時間をすごします(そういうパラ レルワールドはリゾートセンターとは限らないです。遊園地、例えばDisney Landや、お台場のVenus Fortというデパートも、パラレルワールドの一つです)。

なぜ人物?

なぜ、抽象的な感情を人物を描くことで表現しようとするのでしょうか?

例えば風景画や生物画より、来館者に感動を与え最も注目を惹くのは、やっぱり人間の肉体です。人物を描いていく上で、誰を描くかということは大切なことではありません。作品に描いてある人物の形が、私にとっては遊び道具です。自分の好きなように、人物の身体各部を組み合わせます。今作っているシンメトリックの作品のシリーズの形は、少しヨーロッパの紋章と似ていると気がつきました。わざとしたわけではないですが、やっぱりずっとヨーロッパに住んでいましたので、あちらの建築やデサインなどを見てきたことで、そういう美的感覚を身につけました。

そのヨーロッパの美的感覚をベースにしながら、日本に来たことによって、日本の感覚をもっと身につけて、二つの美的感覚を影響させ合い、組み合わせながら作品を作りたいです。

なぜ木材? ―素材と制作プロセス―

2007年以降、木材でインスタレーションっぽい絵画作品を作っています。自分で色々な所で撮った数百枚の写真を見て、それからコンポジッションに一番似合っている人物を選び、ジェッソを塗られたべニヤ板の上に鉛筆で描いて組み合わせます。その描くプロセスで、コンポジッションは植物が育つようにだんだん大きくなっていきます。

次はその鉛筆で描いた形を電動鋸で切り取って、その切った角を紙やすりで消磨します。そして、アクリル絵の具で描いて、そのあとにワニスを塗ります。最後に、裏側に作品と壁の間に距離を作るために、長さ約9センチ(棒の長さは作品のサイズによって違います)位の棒を付けます。

木材を使っている理由は、木材が発している暖かさです。木材を触りたくて、自分の手で板を切り取っています。そうすることによって、作品の全てが私の体を通して作られていきます。

2014年 サブリナ・ホーラク

The Artist

サブリナ・ホーラク

日本とオーストリアの狭間で生まれ育ったサブリナ・ホーラクは、都市社会が創り出した人工楽園「パラダイス」とそこに存在する人々との関係性を題材に、シンメトリックで曼荼羅のような半立体的絵画を制作しています。

人物の腕や脚などが解体されたパーツを組み合わせて新たにイメージした形状を板から糸のこぎりで丹念に切り抜き、発光するような色彩で人々を描き出した作品は、まるで浮遊する臓器を連想させます。

1983年オーストラリア・ウィーン生まれ。現在、東京在住。2007年ウィーン美術アカデミー絵画専攻卒業。2014-現在 東京藝術大学美術研究科油絵専攻 博士課程。