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この度、matchbacoは5月27日(金)から6月25日(土)まで高島空太による個展「2016」を開催することとなりました。 幼い頃から地元山梨の自然の中や親戚の住む東京の街角で写真を撮っていた高島は、山梨大学芸術運営コースを卒業、現在は東京を拠点にしています。 2012年写真新世紀にて佳作入賞。また2014年には、清里フォトアートミュージアム「ヤング・ポートフォリオ」にて選出され作品が収蔵されています。 高島は一点一点の作品の中で、目に見えない夢や妄想に入り込んでくるポエティックな独特の世界を繰り広げます。 「目 の前の情景だけではなく同時進行で自分を取り巻いている何かを手がかりにシャッターを切る」と語る高島は、巨視的視線と微視的視線を行き交いながら日常の 隙間をスナップします。砂粒状のざらついた質感が特徴の高島の写真は、観るものに不思議な懐かしさを呼び起こし、精神世界と響き合い、内なる声が聞こえてくるような魅力があります。 高島はこれまで、自分の存在感覚が明確になる瞬間を「ざわつき」と名付け、都会を行交う人々の群像や、俯瞰した都市風景、虫や野に咲く花などの写真を膨大な日記のように蓄積して来ました。 「自分の写真が誰かの内に存在する世界の一枚になる事ができれば、それは自分自身の世界への認識への大きな手がかりとなる」と述べる高島は、自己と他者の精神風景を巡る考察を続ける内に、2014年11月、同ギャラリーで開催した個展「Zawatsuki」 において、場所、時間、モチーフがそれぞれ異なる写真を絡め合わせて再構築した《ダブル・エクスプロージャー》シリーズを発表し、その後も新たな可能性を 探求し続けています。日常で見た視覚情報を、多眼視的に重なり合わせ、捉えづらい世界を再現しようとする高島独自の視覚言語によって所産されたこれらの作 品には、淡い浸透感と不思議な欠落感が溶け合った抽象絵画のような存在感があります。これら一点ごとに少しずつ異なる作品が、やわらかいリズムの音楽を奏 で、鑑賞者の精神世界と響き合い、チューニングされ、静けさへと収斂し、安らぎを与えて来ます。 本展「2016」では、最新の《ダブル・エクスプロージャー》シリーズを展示します。